君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
 そしてそんな私の気持ちを、拒絶した人。

 ラブレターが黒板に張り出されて、悟くんに「気持ち悪い」と言われた以来。

 私と悟くんはまったく関わることはなくなった。

 一言も話していなかった。

 たぶん今が、あの出来事以来の会話だったと思う。

 たまたま同じ高校になってしまったけれど、一年生の時は私が一組で、悟くんが八組だった。

 教室が遠かったためあまり彼を見かけることは無く、関わることはなかった。

 だけど二年生になり、クラス替えで私たちは隣同士のクラスになった。

 体育も合同だし、全校集会でも隣の列に居る。

 だから一年生の時よりも、悟くんを見かける頻度はかなり多くなった。

 ――今さら、話すことなんてないよね。

 悟くんは私のことを嫌いなはずだし。

 拒絶された時はショックで私も泣いたけれど、時間が経つにつれて悟くんへの気持ちは次第に薄れていった。

 今では悟くんに対する好意はもうない。

 嫌い……とまでは思っていないけれど、過去の苦い記憶の中心に彼がいるので、やっぱりあまり近づきたくなかった。

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