君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
 それか、気まぐれでちょっといつもとは違うタイプの友人を作りたかったとか……。

 きっとそんなところだと思う。

 ――正直、私はすごく楽しかったけど。

 また一緒に遊びに行けたらいいなと思う。

 樹くんは「また付き合ってくんない?」って言ってくれたけど、ほんとかな。

 ……うーん。

 社交辞令かもしれないから、あまり期待しない方がいいのかな。

 私の強い否定を受けて、琴子は罰悪そうに笑った。


「いやー、栞からの思いがけない話に、ついテンションが上がっちゃって」

「あー、うん……。私もまさかサボるなんて思わなかったよ。樹くんが勝手に『俺たち具合悪いから帰ります』って保健室の先生に言うんだもん……」

「何それ。面白いね樹くん」

「うん。みんなに人気があるの分かる気がする」


 そんな会話をしながら、本の整理を終えた私たち。

 琴子は本棚の整理をしてくると、カウンターから出た。

 私は、ふう、とひとり一息ついた。

 するとカウンターの隅に置いていた図書館ノートが目に入ってきた。

 ――あ、そうだ。

 あの人から返事来てるかな。

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