君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように

「そ、そうなの？　ってかふたりそんなに仲いいんだ。意外でびっくりしちゃった」


　やっぱり瀬尾さんとしては、樹くんと私が一緒に居るのが不自然に思うんだろうなあ……。

　そんな風に思ってしまった私だけど、樹くんは大げさに口を尖らせる。


「なんだよー、別にいいじゃん。文句あんのか～？」

「え、うん。別にいいんだけど……」


　不機嫌そうに言った樹くんに対し、瀬尾さんは苦笑を浮かべてそう言った。

　彼女は何かを言いたそうにしているように見える。

　タイプが違うふたりで何して遊ぶの？とか、好本さんと遊んで楽しいの？とか聞きたいのかもしれない――なんて、また自虐的なことを私は考えてしまう。

　だって、私だってそう思うもん。

　樹くんにとって、私と遊ぶことが本当に楽しいのかなって。

　もちろん私は楽しいんだけどさ。

　すると樹くんは、なぜかにやりと微笑んだ。


「由佳、邪魔すんなよ？　俺と栞はこれからデートなんだから」


　その樹くんの一言に、私は「えっ!?」と声を漏らしそうになってしまった。

　でも慌てて口を噤む。

　え、これってデート……なの？