君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
 そういえば琴子も「ふたりで出かけたんならデートじゃん」って言っていたけど……。

 樹くんも、そう言う風に思っていたの……?

 瀬尾さんは、驚いたような顔をした後、樹くんを問い詰めるようにこう言った。


「デート!? ちょっと樹あんた! どういうことよ!」

「えー、だからデートはデートなんです~」

「ちょっとその話詳しく!」

「うんまた今度ね。もうこれからデート行くんで。俺忙しいんで」

 
 樹くんはニヤニヤしながらも、きっぱりと言う。

 これ以上の追及は今は受け付けません、そんな言い方だった。

 瀬尾さんは不機嫌そうな顔をすると「今度詳しく聞くからねっ」と言って、去ってしまった。

 瀬尾さん、そんなに私と樹くんが仲良くしているの気になるんだ。

 私が樹くんといるのが面白くないのかも……。
 
 なんてことを性懲りもなく思った私だったけれど、樹くんとふたりだけになっていることに今になって気づいて、ドギマギしてしまった。

 なんて言ったらいいかわからなかった。

 ――樹くん。

 瀬尾さんに私のこと嬉しそうに説明してくれた。

 今日遊びに行くんだって。

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