君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
 画像編集のブースで、樹くんがタッチペンで次々に編集内容を決めていく。

 私はそれを後ろから見て、何とかその間に呼吸を整えた。

 中学生の頃に撮ったプリクラでは、落書きをたくさんした覚えがある。

 でも樹くんは明るさを補正しただけで、スタンプも文字も何も書かなかった。


「落書きしないんだね」

「最近はシンプルに終わらせるのが流行りなんだよん」


 私の問いに、樹くんは少し得意げに言った。

 プリクラの撮り方にも流行りがあるんだなあ。

 疎い私は全然知らなかった。

 編集を終わらせると、すぐにプリントされたシールが出てきた。

 ――やばい。

 私やっぱり顔赤すぎる。

 見ていて恥ずかしくなる。

 無理に微笑んだためか、変な笑顔に見えるし……。

 樹くんも変に思ったかなって、シールをじっと眺めている彼を恐る恐る見た。

 ――すると。


「栞、いい顔してんじゃん」

「えっ?」

「頑張って笑おうとしてんのが、かわいい」

「えっ……!」


 そんな強張った顔、ちっともかわいいと思えなかった私は驚いた。


「なんか嬉しい。笑おうとしてくれてるのがさ」

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