君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
 確かに画像があればシールはそこまで必要じゃないかも。

 でも、私もどこにシール貼ろうかな?

 そんなことを考えていると、樹くんは楽しそうに笑ってこう言った。


「画像はスマホの待ち受けにしよっと。なんか気に入っちゃった、この栞」

「えっ……」 


 ま、待ち受け!?

 樹くんがスマホを見るたびに、赤面した私のぎこちない笑みがそこにあるってことだよねっ?


「ちょっとそれは……。恥ずかしい、かも……」


 さすがに樹くんの手元に常に私がいると思うと、気恥ずかしさでたまらなくなった。

 ――だけど。


「なんでー? いいじゃん、そもそも待ち受けが欲しくて撮ったんだもん」

「え、そうなの?」


 私とのプリクラを、最初から待ち受けにするつもりだったの?

 ――なんで、私なんか。

 そう思ってはっとする。

 「私なんかって思っちゃダメ」って、この前樹くんに言われたばっかりだったから。

 だけど、なんでだろうって不思議な気持ちは消えない。

 ――でも樹くんがそうしたいのなら、いいのかな。


「そ、そっか。分かりました」

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