君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
 本当に病気だから、なかなか返事ができないのかな?

  それとも見当違いのことを聞いてしまって、呆れているとか怒っているとか……。

 いつもだいたい三日以内に返事をくれるのに、とっくにその期間は過ぎている。

 だからノート越しの彼の心情を、いろいろ考えてしまう。

 また返事をくれるといいな。

 そんな風に、樹くんやノートの彼のことを考えているうちに、いつの間にか昼休みになっていた。

 樹くんは今日は学校に来ていた。

 教室では相変わらずすみっこでひっそりと暮らしている私とは対照的に、昼休みになった瞬間友人たちに囲まれていた。

 私にもたまに話しかけに来てくれるけれど、人気者の彼は忙しいのだ。

 他の友達だって、樹くんと過ごしたいはずなのだから、別に教室で一緒に過ごせなくても全然気にならなかった。

 むしろ、前までは誰とも喋ることは無かった私に、たまに声をかけてくれるだけで救われた気分になる。

 昼休み、みんなは友人たちと教室で机をくっつけたり、中庭や屋上に行ったりしてランチを楽しむ。

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