君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
「えっ……。そ、そんな。うざいだなんて思わない、です……。それに私がひとりでいるのは、人見知りだから……」


 派手ではっきりと物を言うから近寄りがたいなとは思っていたけれど、うざいだなんてとんでもない。

 私がひとりでいるのだって、そうするしか選択肢がなかったからだ。

 私だって本当は、クラスにも友達が欲しかった。

 だけど昔の思い出のせいで、怖くて誰にも声をかけられなかった。

 仲がいいと思っていた人にすら、「気持ち悪い」と言われてしまったあの思い出。

 そのせいで、昔からの友達の琴子や家族以外の人は、みんな私のことなんて嫌いなんだとすら思うこともあった。

 だから瀬尾さんの言っていることが、いまだに信じられない。

 瀬尾さんが私の言葉を聞いて、ぱあ、と顔を輝かせた。


「ほんとっ!? いやー、最近樹が好本さんと仲良くなったって言ってたから、マジかよって信じてなかっの。樹が一方的に付きまとってるだけなんじゃねって」

「は? 俺どんだけうざいキャラなわけ」


 樹くんがジト目で瀬尾さんを見る。

 その様子が面白くて、私は密かに笑いを堪えた。



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