君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように

本気で怒ってくれる彼




「最後ああなるとは思わなかったわ。でもすげー納得のラストだった」

「だよね! 私もそっか、こう来るかー、って思った。あの作家さんは本当に展開がすごいよね」


 本屋で何冊か購入した後、私たちが向かったのは以前にも行ったケーキがおいしいカフェ。

 今回はもう夕飯前だから、お茶だけにしたんだけどね。

 樹くんが、前に私がおすすめした本を読み終えたと言っていたので、私たちは感想を言い合っていた。


「それにしても樹くん、本読むの早いね」


 私がその本をおすすめしてから、まだ三日しか経っていない。

 その間に購入して読了したんだって言うから、結構早いと思う。

 すると樹くんはちょっと悪戯っぽく笑う。


「意外? 俺、本読まなそうなキャラだよな」

「えっ……。あ、うん……」


 思わず正直に頷いてしまった。

 別に悪いわけじゃないけれど、いつも友達と楽しそうに話している樹くんが、おとなしく読書をしているイメージはまるで湧かない。


「はは、だよなあ。でも実は結構好きでさ。中学生の頃は、休み時間もよく読んでたし」

「えっ、そうなの?」


 最近の私みたいに?

 それこそ本当に想像できないや。


< 93 / 216 >

この作品をシェア

pagetop