君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
「うん、ちょっと柄にもなく悩んだりもした。でも高校に入ってさ、ある人に相談したんだ。そしたら『あなたを大切にしてくれている人なら分かってくれると思います』って言ってくれて。だからしょうもないことでからかってくる奴のことなんて、気にしない方がいいなって思った」

「そうなんだ」

「うん。まあ、マイペースな俺に離れていくやつもいたけどさ。心から気が合うやつは、ちゃんと仲良くしてくれるんだよね。由佳とか」

「へえ……」


 なんだかとてもいいなと思った。

 くだらないことを言ってくる人を気にせず、心から通じ合った友人を大切にしている樹くんが。

 ――あれ?

 そういえば。

 『あなたを大切にしてくれている人なら分かってくれると思います』って、私も同じようなことを図書館ノートに書いた覚えがあるなあ。

 確か、ノートの彼が人間関係で悩んでいるって書いてくれた時だ。

 面白い偶然もあるものだ。

 確かあれも高校に入りたての時だったし、みんなそういうのに悩む時期だったのかもしれない。


「ってか、由佳と仲良くしてくれてありがと。あいつ、ずっと栞のこと気になってたみたいでさ」

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