君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
「……彼は私と仲良くしてくれているんだって思ってた。私を好きになってくれているかはわからなかったけど、嫌われては無いんだって思ってた。一緒に居る時はいつも、楽しそうに笑っていてくれたから」


 樹くんは静かに私の話を聞いてくれていた。

 私の話が進むにつれて、険しい顔になっていったように見えた。


「だけど、そんな風に言われちゃって。……それからなんだか怖くなって。仲良しだと思っていた人にも、そういう風に思われていたんだって知ってから、私は人と話すのを避けるようになった」


 改めて言葉にすると、あの時の悲しい気持ちがリアルに思い出されてしまった。

 泣きそうになったけれど、樹くんの前だったので私は必死で堪えた。

 仲がいいと私が思っていた人にすら、嫌われていた。

 そんな事実を知った私は、周りの人みんなが私を嫌悪しているんじゃないかって思うようになった。

 だから、由佳ちゃんが私と仲良くしたかったって言ってきたときも、私はすごく驚いてしまったんだ。

 クラスメイトみんなは、私のことを嫌っているんだっていつのまにか思い込んでいたから。

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