小説「グレイなる一族」

エピソード 四十七人 「グレイなる隠れ家②」

エピソード四十七人 「グレイなる隠れ家②」

I am GALY・・
私の名は、グレイ

時節は梅雨も明け台風も過ぎ去り、本格的な夏の気配をこの「グレイランド」が迎えたと
ても暑くてたまらない日々の中の事である。

私の身体は、しっかり「グランマ」の胸の中で抱っこされている、普段なら彼女との熱き
抱擁も「グレイランド」ではとても神聖な行為なのだが、

グランマ「ふーグレイちゃんのお腹気持ちいい・・私達とっても仲良しで熱いわね」

グレイ「うん、本当に暑い夏だから・・」

その時、一瞬「グランマ」の顔が鬼の形相になった・・なのですぐに言い直し・・

グレイ「本当よね・・おほほほ」

夏の昼下がり、暑くて仕方ないのだが私は両方の前足で「グランマ」の首を包み更に
親愛のポーズを示したのだ・・それで今回はこと無きを得たのだが・・
しかし、夏というものは私という由緒正しき誇り高き高貴な一族の末裔である事を示す
この体毛には、とにかく暑すぎるのである。とりわけ、「グランマ」の機嫌を取る為に
交わされる熱き抱擁もまったく、別の意味で暑くもはや重労働をかせられている
気分にさえさせられる。

これもこの「グレイランドの長」としては仕方のない事なのだが、この後鰹節与えてく
れる事やトイレの掃除など全然してくれない「セバスチャン」にこの身柄が引き渡され
る事は残念でならない。一旦この愛らしい身柄が、「セバスチャン」に引き渡されてし
まい長い間、散々弄ばれたり強制的に「グレイダンシング」をさせられてたり、ボロボ
ロにさせられるのだ。

こんな暑い日には何処かこの「グレイランド」の中に誰にも見つからず尚且つ涼しい
場所などないものか?探してみると寝室のテレビの黒いラックはひし形になっており、
その中に入ると暗くて涼しくて誰にも見つからない「隠れ家」となるのだ。

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