小説「グレイなる一族」

アノル「セバス・・もう帰るから貴方のお仕事の時間よ」

「セバス」という名の犬は、「アノル」の号令に合わせて四方八方にバラバラにいる羊達を一箇所にまとめる為に懸命に走り回っていた。やがて、四方八方にバラバラになっていた羊達が一箇所に集まってくると、

アノル「アレン兄さん・・何してるの・・早くその胸の笛を吹いてよ」

私は、「アノル」に言われるがままに笛を吹くと一箇所に集まった羊達は綺麗に一列に並
びゆっくり行進を始めていった。「セバス」という名の白く大きな犬は、羊達の列から飛び出さぬ者がいないかどうか？懸命に見張りながら、羊達の行進に合わせ自身も進んでいく。

アノル「じゃあ・・アレン兄さん私達も行きましょうか？」

そう、「アノル」に手を引かれると私は状況の飲み込めない頭で、羊達の行進に合わせ歩き出していた。私は、「セバス」を見ているとどうしても、「セバスチャン」に見えてしまいしかし、この「セバス」という白い大きな立派な犬は、ものすごく働き者であり燐としていてあのグータラ「セバスチャン」とまったく違う生き物なんだが、何故か私は「セバス」は、「セバスチャン」だと感じていた。

アレン「セバスは、よく働くね・・」

アノル「いつだってそうじゃない・・死んだお父さんやお母さんの話ではセバスはかなり由緒正しき血統なんだって、よく私達に言っていたじゃない。」

アレン「え？？由緒正しき血統だって・・・」

アノル「そうよ・・ねぇセバス♪」

「アノル」が「セバス」にこう問いかけると・・

セバス「にゃおーーーーん♪」

と返事をした。

アレン「なんだか何処かで聞いた事があるような鳴き方だな・・僕等の父さん母さんは亡くなったのか？」