小説「グレイなる一族」
アノル「どうしたの?きょうのアレン兄さん、何かおかしいわよ・・昨日崖から落ちた時にやっぱり頭を強く打ったんじゃない・・」

アレン「・・・・・・・・。」

アノル「いいわ・私達の父さんは徴兵によって、先のガイア戦争で勇敢に戦って死んだわ
・・母さんは、小さな私達を育てる為に毎晩朝早くから起きて、夜遅くまで働いて・・一生懸命汗を流して働いた挙句、流行の病で倒れてそのまま死んじゃったわ・・私達の生活が困らないように・・多くの羊達を残して」

断片的ではあるが、その時その時の映像が頭の中に写し出されめまぐるしく記憶が胸の
奥から、飛び出してくるような感情は何を意味するのだろう・・

アレン「そうだったね。」

ただ私は、「アノル」の話に頷くばかりであった。

アノル「ほら・・見えてきたあの白いわらぶき屋根の家が私達の家よ」

「アノル」が指を差した方向に目をやると、確かにそう大きくない藁葺きの白いタイルで作られた家とその隣に木造の建物が見えてきた。

「セバス」は、羊達を木造の建物の中に入れる作業に写っていた。

セバス「にゃおおおーーーん♪」


「セバス」が全ての羊達を木造の建物に入ったのを、確認すると作業が終了したと鳴いて
私や「アノル」に知らせ「アノル」はしっかり木造の建物の錠をした。

アノル「さて、本日も終わり・・私達も家に入ってご飯にしましょう」

藁葺き屋根の白い家に入ると、中に木造のテーブルと椅子があり私はそれに腰を下ろした。


私は勢い良くあふれ出てくる記憶を整理するので一杯だった、私の足元では「セバス」が
寝転び私を見上げている。

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