小説「グレイなる一族」

私は、この家を出て羊小屋の方に向かうと10人いや20人の群れが羊小屋の錠を壊し中の怖がる羊達を盗んでいる様子が見えた。群れは山賊だった、ある羊は山賊の手にする剣により、すでに息絶えており、ある羊はあまりの恐怖の為に更に羊小屋の奥へ奥へ逃げようとするが、やがてそれさえも山賊達に捕まりその剣で命を奪われてゆく。

私は、息絶えてゆく羊達をみて激しい怒りが込み上がっていくのを抑えられずにはいられ
なかった・・多分断片的に浮かんでくる「母」の残像がそうさせたのかも知れない。

アレン「やめろ！！！！」

次の瞬間、私は山賊達に飛び掛っていったのだ。

山賊達「なんだ・・小僧邪魔するんじゃねよ！」

山賊に跳びかかって行ったのだが、所詮羊飼いの私と「ガイア戦争」を生き延びてきた山賊達との腕力にかなうはずがなく、しかも私は剣を持っていないので簡単に羊小屋の壁に投げつけられてしまったのだ。

山賊達「面倒だから・・殺してやろう」

私は薄れゆく意識の中で、頭上に振り上げられた剣を見ていた。その剣が私に振り下ろさ
れようとした瞬間・・

山賊達「ギャーー何だ・・この犬は！！」

「セバス」が物音を聞きつけ、振り下ろされるはずだった剣を持つ山賊の腕に噛み付いてのである。「セバス」は噛み付いた腕を放すと倒れこんでいる私の前に立ちはだかり、山賊達に吠え威嚇してゆく

セバス「がるるるる・・るる・・にゃおーん♪」

セバスが吠えると、山賊達も少しひるんだが・・

山賊の頭「このクソ犬をはやく始末しろ！！」

と部下の山賊達に指示すると、最初は優勢だった「セバス」も多勢に無勢であり前足を切られ片目を切られ・・ついには山賊達の剣がその身体を貫くと・・

セバス「にゃーーーおん（無念）」

と、私の顔を見ながら最後の遠吠えを上げ地面に倒れこんだ。

山賊「手間を取らせやがって・・このクソ犬がぁ・・」

その時・・家の方から「アノル」が出てきた。「アノル」は山賊達を見て地面に倒れている「セバス」を見つけると・・

アノル「セバス！！！！」