小説「グレイなる一族」

とこちらに駆け寄って来ようとするのだが、

アレン「こっちに来ちゃ駄目だ・・逃げるんだ。」

山賊「まだガキがいやがったのか」

私は、山賊達の隙を見つけ泣き叫ぶ「アノル」の手を引くと、なんとかこの場を逃ようとすると、山賊達に脇腹を切られてしまったが、一目散に山の中に駆け出して行った。

山賊達「頭・・ガキ共を追いかけなくてもいいんですか？」

山賊の頭「ほっておけ・・どうせあの傷じゃ男の方は長くもない・・それより今日は宴会だ！食料も屋根のついた家もあるしな・・」

もうどのくらい山中を走ってきただろうか？わき腹の傷からずいぶんと熱いものが流れていくような気がする。私たちは何も言わず山の頂を目指して細い山道を走っていた。

山中を登っていく途中、不意に痛みが身体をよろつかせ・・私たちは転んでしまいその反動で崖に「アノル」の身体が落ちそうになってしまった。「アノル」は咄嗟に私の手を掴み落ちないように踏ん張っているが、山中を走ってきた疲れが山賊に受けた傷が「アノル」の身体を再び安全な場所に引き上げる力など私にも「アノル」にも残されていなかったのである。

私の手と「アノル」の手は今はまだ繋がっているが、もう後数分もこの体制を維持できない状態まできている。