小説「グレイなる一族」

私がその名を口にすると、白い小さな犬も返事をし・・仕方がないので「ガイア城」に連れて帰る事にした。私は、「セバス」を胸に抱きかかえながら再び馬にまたがると、「セバス」は私の肩まで登りまだ地面に倒れたままになっている。大きな白い犬を見て寂しそうに鳴いていた。

私はよくよく「セバス」の体をみるのだが、「セバス」がオスなのか？メスなのか？無骨者の私にはわからなかったが、白く凛とした顔は可愛らしく「セバス」の性別なんてどうでもいい事のように思えたので気にしなくなった。

「ガイア城」の中には先代アロン王が作り上げた町がある。町を城壁で囲ったのが「ガイア城」だ・・・「ガイア城」にたどり着くと中には先の戦争での負傷者が多くたむろっており、「ガイア国」の明日が今にも消えてしまいそうなのが瞳に映る・・私は自身に与えられたそれほど大きいとは言えない家に入ると、「セバス」を下ろし、鎧を脱ぎ剣を床においてテーブルの上の水入れから、コップに水をいれ飲み干した。

セバス「にゃーおん♪」

そう「セバス」が鳴くので、白い食器に水を入れ夕べの食事の残り物である肉などを皿ごと「セバス」の前に置いた。「セバス」はよほどお腹が空いていたらしく、無我夢中で与えられた水や肉を平らげると、その場で眠ってしまった。その時、誰かがこの家のドアを叩く音がした・・

マーガレ「お帰りなさい・・グレイ様今日もご無事で本当に良かったですわ」

ドアを開いて、この家に入ってきたのは私の身の回りの世話を何故だかしてくれる「マーガレ」という女性だった。何度も身の回りの世話など自分で出来ると断っていたのだが、いつも私の身の回りの世話をしてくれるので、なんとなく私はこの女性に甘えていた。