小説「グレイなる一族」

女性「助けてくれてありがとう・・お名前は何と言うの？」

アラン「私は、アラング・レイサンドロスと言う・・元バルト国の戦士だ。」

私は長く呼ばれる事のなかった名を口にした。

女性「バルト国のアラング・レイサンドロス・・昔パパから聞いた事があるわ。ものすごく強い戦士だって・・そんな戦士がどうしてこんな山の中にいるの？」

アラン「その理由を教える前に・・君の名前はなんていうのか？教えてくれないか？」

女性「ごめんなさい・・・私は自分の名前を教える事が出来ないの・・」

私は、そんな事を言う彼女が滑稽に思えただが彼女の表情を見ていると、何か理由がある
らしく・・それ以上追求しない事にしたというよりも、戦士として無骨に育ってきた私は、女性に対しての免疫が無かったのである。

しばらくの沈黙が続くと・・彼女の方から・・

彼女「私の名は、ラーマって呼んでくれる・・それとしばらくここに置いてくれないかしら・・アラン？」

私は少しの間考えて答えを「ラーマ」に伝えた。

アラン「別にいいけど・・アランと呼ぶのは止めてくれないか？私はバルト国の戦士で
あった事を忘れたいのだ・・」


ラーマ「じゃあ・・アラン以外の名前で呼べばいいのね・・じゃあアラングのグとレイサンドロスのレイを取って、グレイって呼ぶわ・・。」

グレイ「グレイ？？・・・・・・・まぁいいや。」

そんな風に私達の暮らしは始まったのである。

私は次の日の朝早くから、家の隣に簡単な小屋を作る事にしたのだ。男と女が一つ屋根の下で寝泊りするのは、あまり良い事のような感じがせず・・第一昨日の夜私はあまり眠れなかったのである。これも無骨な戦士としての習慣というか・・とにかくいくら「ラーマ」が気にしないと言っても、私が気になって仕方なかったのである。