小説「グレイなる一族」
「ノリス・ハザード」は、私と同じ移住者だ。以前住んでいた国の国王の指示を無視して国を追われ山賊として暮らしていた、この「ガイア国」の門が誰にでも平等に開かれた時に山賊を止めこの国に移り住んで来たのだと聞いた事があった。よく見れば宮殿の入り口を守っている僅かな手勢は、皆そうやってこの国にやって来た移住者ばかりだった。東の門を開きバルト国の軍勢を中に招き入れたのも移住者なら、最後までその軍勢から女王のいる宮殿を守ろうとしているのも移住者だった。

ノリス「俺達が此処を守れるのは僅かな時間だ。早く中に行って女王を脱出させるんだ。」

グレイ「・・しかし」

ノリス「早く・・行け」

「ノリス」はそう言うと強く私の背中を宮殿の中へと押した。これが私と「ノリス」の最後の語
らいになったのだ。私は、宮殿の中を走ると外の怒声は勢いを増していく、途中の窓から
宮殿の屋根に向かって火矢が何本も放たれているのが見えた。

・・続く。


< 184 / 211 >

この作品をシェア

pagetop