小説「グレイなる一族」
何度かその名を口にすると、閉じていた瞳は僅かながら開き、私にこう呟いた。

ラーマ「私は父の理念とガイアと共にします・・貴方方は早く逃げてください。」

命の灯りが消えようとしている「ラーマ」には、もう私が誰だか認識できないようだ。彼女はそう言うと全ての力を失い眠ってしまった。

「ラーマ」が永遠の眠りに付くのと同時に玉座の間の天井の一部が倒壊し「ラーマ」の身体を支えているこの身に落ちて来ようとしていた、私は瞬間的な判断で「ラーマ」の身体を離してしまい倒壊してきた物体から逃れてしまった。私はこの瞬間的な判断を自身で激しく呪った・・私の身体は充満する煙から、燃え盛る炎から自然と逃げてしまった。炎の中に「ラーマ」を残して・・

それからの私は無我夢中で火の気のない場所を探して、途中外が見える窓を叩き割って炎から逃れた・・私は何処をどう走って来たのか?分からないが気が付くと「ガイア城」の外にいて、ただ燃えている「ガイア城」がよく見える丘に座り込んでいた。この丘から見える「ガイア城」はオレンジの炎の塊にしか過ぎず・・どのくらいの人々が逃れられたのか?想像も出来なかった。

私はあの瞬間確かに「ラーマ」の身体を手にしたのだが、つまらない生の執着がやっと手にした身体を炎の中に返してしまい・・私自身も生き延びてしまったのだ、その事に対する葛藤はオレンジの空いっぱいに無限に広がってゆくのだ。

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