小説「グレイなる一族」
私は、誰にもこの由緒正しき誇り高き高貴な身体に触れられたくなくつい・・言って
しまった。」

「オスのようでもありメスのようでもある性別だ。」

「あすいません・・オカマですか?でも調書にはオカマの欄はないんでオスにしておきますね。」

「・・・はい」

私の性別には、過去に陰があるかもしれないのでその事にはなるべく触れないで欲しかった為、その後、次々質問される事にほとんど猫だと思われても仕方のない答え方をしてしまいそれが原因でしばしの間、何を聞かれても黙秘してしまった。

なかなかはかどらない調書の作成にまたもしびれを切らした。先輩刑事のマー・ロンが
再び尋問室のドアを開いた。

「もうーまだやっているの・・早くしてよ。捲いて捲いてよ・・もう・・」

横浜―広島戦を早くみたいマーロンが後輩をせかしている。

「すいません・・なかなか星が口を割らなくて・・」

「もうちょっと変わってくれる・・こういう時はね・グレイ君お腹すいてない・・空いているよね
・・カツ丼でも取ろうか?」

たしかにこう何時間も何も食べないとお腹が空いている。

「できれば、鰹節ご飯の方がいいかな。」

「やっぱり!!猫じゃないか!!!」

「違う!!」

「鰹節ご飯なんて、猫の好物じゃないか!!」

「それでも僕は猫じゃない!」

僕はただ鰹節ご飯が好きなだけでそれはただ猫も好きなだけの事である。

しかし、この一見が調書に深く刻まれこの後の検察での調書の作成にも、深く影響してくる事を、私はまだ知らなかったのである。

「それでも僕は猫じゃない」

―サイドビジョン3へ続くー

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