小説「グレイなる一族」
日課のお昼寝も出来ず私の瞼は何度もお友達になろうとしているがそれが許されないの
であるこんな事が許されるのであろうか?いつもなら平均16時間ほど熟睡して、絶好調
を発揮できる私という由緒正しき誇り高貴な生き物なのに・・

そうこうしていると、日もくれて次の日になった。

「901号面会です。」

「はい!」

私は係員の手によって、赤ちゃん抱っこで面会室へ向かった。面会室に入ると窓
ガラス一枚向こうに一人の男性が座っていた。

「初めまして・・国選弁護人のセバス・チャンです。」

セバス・チャンは、弁護士なのにネクタイもせず寝ぐせもバンバンの30歳代始め頃の
独身男性である。弁護士というと阿部寛みたいな立派なものを想像していたのだが、世の中も色々変わったのであろう・・今日の所はこれでよしとしよう。

「えーと名前はグレイさんですね。罪状は最強線の電車に乗っている所・・女子中学生の
プー・チャンに呼び止められ猫だと言われ警察に補導された・・これで間違いないで
すか?」

「はい・・私は由緒正しき誇り高き高貴な生き物なのに猫と間違われているのです。」

「そうなのですか?種族はアメシャですか?」







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