小説「グレイなる一族」
緊張が走る走る何処までも走るついでに車も走って何処までも走ってゆく・・

グレイ「さっきは、カツオ節をちょっと分けると言ったが半・半分だ半分ならどうだ?」

どうせ彼がその気なら、カツオ節などこれからありつける事などないのだが私は思い切っ
た提案を彼にしてみたのだ。

セバスチャン[・・・・・・・・・・・・]

やっぱり、半分でもダメなのか?私は後頭部座席に飛び乗り、この車他に出口がない
ものか?探してみたのだが・・残念ながら現在の私の力でどうこうできる出入り口は
まったく皆無なのだ・・

私は、後頭部座席からもう一度「セバスチャン」に訴えかけてみた。

グレイ「よしおもいきって三分の二いや・・全部貴方に差し上げますから・・」
セバスチャン[・・・・・・・・・・・・・]

再び返事がない・・・彼はまるで死人のように口を閉じて、こちらを見ようともしないのだ。いよいよ私にも交渉の切り札が無くなってきたのだ・・さらに車は進んで行く

グレイ「私貴方の言うことなら何でも聞きますから・・」
セバスチャン「・・・・・・・・・・・」


もう私は発狂寸前で目なんかとっくに涙目になっている。それでも「セバスチャン」は
何処か都合のいい場所を見つけ次第、私を野良にする気でいるんだ・・野良なら
いいけどいやいや良くないぞ良く無いぞ・・絶対に

車は十分ほど走ると遂にその動きを止めたのだ・・止まった場所は大勢のひとがいる
「駅」という場所らしい・・「セバスチャン」はこの「駅」という場所に着くと・・すこしだけ車の窓を開けて、煙草を上手そうに吸い始めた。いつもの私なら「グレイランド憲法」にのとって二三の文句でも言ってやるだが、今彼は多分私のこれからの処遇
について懸念しているだそう私は、囚われの身であって拒否権をまったく持てないかよわい生き物でしかないのだ・・


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