隣は秘密の花先輩
目が回りそうになりながらも、目の前の綺麗な男を見つめれば、私を見下ろしていた彼の唇が不意に力が抜けたように笑った。
「いや、違う。お前の場合、読み仮名は『ばか』だから、花 花だな。」
「もう!」
新幹線走っちゃって損した!富士山も噴火もんだよ!なんて思いながら、頬をふにふにする手を弾くようにペシペシと手で叩く。
「何それやだよ」
そう言いながら頬にまとわりつく大きくて骨ばった手を引きはがそうとすれば、一番の力でぎゅむ、と頬を潰される。
「うっ」
思わず唇が尖る。
先程まで笑っていた花先輩が、眉間にシワを寄せ、私にその綺麗な顔を近づけ、低い声で言った。
「拒否権なんてねーわ。」
ほんと、何処までもわからない人だ。