隣は秘密の花先輩
言い合いで勝てた試しがない。手足をじたばたさせて子供のように怒りを顕にすれば、隣で呆れたような笑い声がやってくる。それもまた、腹立たしい。
難しそうな洋画が終わり、彼が部屋の明かりをつける。それから私の制服をまじまじと見つめ。
「似合わねーな。」
と、また、鼻で笑う。
私は自身の制服を見下ろす。まだパリ、と乾いた感触が残る制服より、中学まで着ていたセーラーの方が着慣れている。そりゃそうだ。
ほんのひと月前まではそっちを3年間着ていたのだから。
「…そのうちメロメロにしてやっかんな。」
むくれながらぼしょぼしょと小声で強気な言葉を述べる。