いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
すぐわかったよ
「…よし。なんとかメイクできた…!」
右を見て、左を見て、最後に正面から自分の顔をチェックして。
白い綺麗めのトップスを着てみたけど、なんか首元が寂しいような…。いいネックレスでもなかったかなぁ。
立ち上がって、アクセサリーが収納されている引き出しを開いた。
「…あ、これ…」
思わず目について取り出してしまったのは、小さなピンク色のプラスチックのケース。
パカ、と蓋を開けると、キラキラと輝く真っ赤な石がついた指輪。
見るからに子供のオモチャだけど、私には何より大切なものだ。
あの日、采斗が雪の中から探し出してくれた、オモチャの指輪。
「優里~、何してんの?」
そんな声と共に私の部屋に入ってきた采斗が、「あ」と私の手元に目を留めた。
「それ…あの時の?」
「うん、そう」
「まだ持ってたんだ」
「もちろん。私と采斗の、思い出の品だもん」
へへ、と笑うと、なぜか采斗の顔が少し赤くなった。
「采斗?」
「…どっか行くの?そんなオシャレして」
「う、うんちょっと…友達とランチに」
これは嘘ではないけれど…
「じゃあ私、もう出るね!」
“友達って誰?”の質問がくる前に自分の部屋を出た。