いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
自室に入っていった采斗はすぐに戻ってきた。
なぜか不自然に両手を体の後ろに回している。
「どうしたの?采斗」
なんか様子がおかしい。
采斗はいつもより挙動不審な動きで、ゆっくりと私の前に座った。両手を後ろに回したまま。
「…ほんとは、こんな場所でとか、こんな雰囲気で、とか、すっごい色々考えてたんだけど」
「う、うん」
采斗の緊張が私にも伝わってきて、無意識に背筋を伸ばす。
「……優里、手出して?」
「え、手?なぜ?」
「いいから」
「うん…」
両手を揃えて出した私に、采斗は「逮捕される人じゃないんだから」と苦笑いしながら、
「とりあえず…こっちでいいか、今は」
私の右手をとった。