いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~




わけが分からないままの私の右手の薬指に、スッと冷たい感触。




采斗が手を離す。


小さなピンク色の宝石がついた指輪がキラキラ輝いていた。




「優里にこれ買いに行ってたんだ。そしたら偶然エマに会って、あんな写真が…」



「…………」



「…もしかして気にいらなかった?」




黙ったままの私の顔を采斗が心配そうに覗き込む。





「……違う」





あ、やばい、と思った時にはもう涙声になっていた。





「嬉しすぎるよ~!!」




思わず采斗に抱き着いた。




「ちょっ…!?」


「ありがとう~!」


「…あぁ~」





耳元で采斗がなぜか情けない声を出す。




「喜んでくれてホッとした…けど、もっといい所で渡す予定だったのに…ちょっといいレストランとか…」



そして何やらブツブツ言っている。





すっと心のわだかまりが溶けて、明日からきっと大変なことになるのに、幸せに満たされる。



そうだね。


疑心暗鬼になる前に、自分のことをちゃんと話すべきだ。




< 121 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop