いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
わけが分からないままの私の右手の薬指に、スッと冷たい感触。
采斗が手を離す。
小さなピンク色の宝石がついた指輪がキラキラ輝いていた。
「優里にこれ買いに行ってたんだ。そしたら偶然エマに会って、あんな写真が…」
「…………」
「…もしかして気にいらなかった?」
黙ったままの私の顔を采斗が心配そうに覗き込む。
「……違う」
あ、やばい、と思った時にはもう涙声になっていた。
「嬉しすぎるよ~!!」
思わず采斗に抱き着いた。
「ちょっ…!?」
「ありがとう~!」
「…あぁ~」
耳元で采斗がなぜか情けない声を出す。
「喜んでくれてホッとした…けど、もっといい所で渡す予定だったのに…ちょっといいレストランとか…」
そして何やらブツブツ言っている。
すっと心のわだかまりが溶けて、明日からきっと大変なことになるのに、幸せに満たされる。
そうだね。
疑心暗鬼になる前に、自分のことをちゃんと話すべきだ。