いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
「……これ…何で……」
心臓が信じられないくらいバクバクしてる。声がうまく出ない。
「私の従妹が偶然見かけたみたいで、写真撮ってたんだってー。この時の乙藤竜生の洋服、雑誌に撮られた時と同じだし。熱愛疑惑の相手って柏木さんなんでしょ?」
「っお前なあ、ふざけんなよ!?こんなの柏木なわけねーだろ!?」
つかみかかる勢いで飛び出してきた一岡が、女子の手からスマホを取り上げた。
「どー見ても柏木さんだし。バカじゃん一岡?」
「うっせーな!こんな写真…消してやる!!」
「別にいいけど無駄だよ?けっこうもう、ネットで拡散されてるみたいだしー」
ネットで…拡散!?
ふら、と眩暈がした。
ふらついた私を咄嗟に稟琉が支えてくれる。
「大丈夫?優里」
「う…ん、ありがと…」
一瞬閉じていた瞳を開ける。
すると、教室の中からも、外からも、いやというほど視線が集まっているのが分かった。
中にはスマホを構えている子もいる。
「ねえ、あの子らしいよ?竜生の彼女ー」
「マジで!?ツイッターにあげよ」
「…っ、」
耐えきれなくなって、思わず教室を飛び出した。