いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
こんなことじゃダメだ。
もしもバレたら、私のあの、恐ろしすぎる妄想が現実のものに……!
気を引き締めなければ!!
私は立ち上がると、白い紙に大きく、黒いマジックで
【この同居は絶対に秘密です!!】
と書いた。
それをリビングの壁の、目立つところに張り付ける。
「よし!」
そのときちょうど、ガチャリ、と玄関のドアが開く音がして
「ただいまー。優里帰ってたんだ?俺ももっと早く帰ってくればよかった」
制服姿の采斗がリビングに入ってきた。
「おかえり采斗」
「うん…って、何してんの?何その紙……?」
采斗が今貼ったばかりの紙に不審な目を向ける。
「これ?なんていうか……家訓!?」
「家訓……?」
「そう!高校卒業まで、この試練を乗り越えるための家訓!」
「試練……?」
「この同居生活の秘密保持なくして平和なし!
私たちの平和な日常を守るため、この同居生活だけは、ぜっっ……たいに、秘密にしないと!!」