いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
もしかして、駅を出たら女の人と采斗が待ち合わせしてるんじゃ、と思ったけど、采斗は誰とも待ち合わせしている様子もなく、駅を出て一人で歩いていく。
タクシーを拾う様子もない。
というか、この道って…完全に私の通学路。
15分も歩けば、私の通っている学校に着く。
『この不審者って、もしかして優里の隣人じゃない?』
昨日稟琉に言われた言葉を思い出した。
絶対ないって思ってたけど、…違う…よね?
私の学校が近づいてくるにつれ、どんどん歩くペースが遅くなっていく采斗。
目線は下に向けたまま、まるで何かを探しているみたいにキョロキョロしている。
その姿は…完全に、不審者でしかない。怪しい。怪しすぎる…!
ついに私の学校の前までやってきてしまった。校門あたりをウロウロしている采斗。
“現れるのは決まって早朝で、学校の周囲を執拗にウロウロしているらしい”
完全に先生の言っていた目撃情報に一致するんですけど…
本当に何してるの!?
声をかけようとした時、采斗が登校してきた女子生徒に話しかけた。楽器を持っているからたぶん吹奏楽部の子達だろう。
“今朝は朝練に来た生徒に声をかけ、学校内に入れてくれと迫ったそうだ”
まさか……!
「采斗!!」