いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
「優里!?」
振り向いた采斗がマスクの奥からくぐもった声を出した。
「何してるの?こんな所で」
「それはこっちのセリフだよ…!ちょっと来て!」
有無を言わせず、采斗の腕をつかむとグイグイ引っ張った。
吹奏楽部の子達が怯えた目で采斗を見ている。
まさかこの怪しすぎる不審者が、人気俳優の“YUU”なんて思いもしてないだろうな…。
私は采斗を目立たない物陰に引っ張り込んで問いただした。
「一体何してるの!?」
「何してるって…優里、もしかして俺をつけてきたの?」
采斗がサングラスを外す。形の良いくっきりとした二重の瞳が、私を不思議そうに見つめた。
「たまたま目が覚めて…そしたら、采斗が家出ていくのが見えたから、つい…」
…って、何で私が言い訳みたいなことしてるんだろう。
おかしいのは采斗でしょ!そうだよね!?
「采斗は私の学校で何してるの?不審者って采斗のことだったの!?」
「え、不審者?」
「学校で采斗のイラスト配られてるよ!早朝にウロウロしてる不審者がいるって…」
「まじかー」
アハハと笑ってる采斗。笑ってる場合じゃないよ!