いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
「…覚えてたの?」
すっかり忘れてるのかと思ってた。
「聞いた瞬間は思い出せなかったけど、ガラスの中にドライフラワーって、もしかして?ってその後思い出した。ずっと大事にしてくれてたんだ?」
「そりゃそうだよ。采斗からもらった物だもん」
その瞬間、采斗が口を抑えて俯いた。
「え?どうしたの?」
「……やばい。死ぬほど嬉しい」
顔を上げた采斗が、心から嬉しそうに笑う。
子供みたいなその笑顔に、心臓がドキッと音をたてた。
テレビの中で見る、綺麗な微笑みとは違う。
私が知ってる、昔から変わらない笑顔だ。
「…采斗。ごめんね。本当にごめん。采斗からのプレゼント…なくしちゃって」
「いいよ、そんなの。今まで大事に持ってくれてたって事実の方が、俺は嬉しいし」
優しく目を細めた采斗が、私に右手を差し出す。
「…優里。帰ろっか、家に」