いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
ガチャ、と玄関の扉が開く音で目が覚めた。
あれ…私、寝ちゃってた?
目の前にはラップがかけられたままのハンバーグ。
リビングに入ってきた采斗が、サングラスを外して驚いたように私を見た。
「あれ…優里、まだ起きてたの?」
「ううん、うたた寝しちゃってたみたいで、今目が覚めたとこ」
「そうなの?だめだよ、ちゃんと布団で寝ないと体壊すよ?」
采斗…なんかお母さんみたい。
「あれ?」
采斗が机の上のハンバーグに気づいた。
「これ…もしかして俺の?」
「あ…うん。采斗、ハンバーグ好きだったなぁと思って…」
そこで私は、采斗の料理の腕がプロ級な事を今更ながらに思い出した。
しかも、芸能人だしきっと舌も肥えまくりだよね…!?よく私なんかの料理を食べさせようと思ったな数時間前の私!わー恥ずかしい!
「…と、いうのは冗談で!これは私の…」
「そこに明らかに、ハンバーグを食べた後のお皿があるけど?」
采斗に指摘されて思わず伸ばしかけた腕をピタッと止めた。
わー洗い物するのすっかり忘れてたー!
「このハンバーグ、俺のだよね?手洗ってくる!」
弾けるような笑顔を残して、采斗は洗面所に消えた。