いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
「……え」
私に…好かれたかったから…?
「中2の春くらいにさ、俺が優里の家遊びに行ったら優里、夢中でドラマ見てて。そんなにこのドラマ好きなの?って聞いたら、出てる俳優が好きだからって…」
「……そんなことあったっけ」
「あったよ。俺その俳優にすっげー妬いたもん。それで俳優になろうと思った」
「え!?」
「っていうのは半分冗談で。でも半分ホント」
采斗が驚愕する私を見て、ふっと笑った。
「中2の夏、スカウトされたのは偶然。でもスカウトされた時、はじめは断ろうと思ったけど…優里が好きだって言ってた俳優が所属してる事務所って聞いて、思ったんだ。
俺も芸能人になれば、優里にあんなにキラキラしてる瞳で、好きって言ってもらえんのかなって」
懐かしむように采斗は笑うけど、私ははじめて聞くことばかりでただ、瞬きを繰り返すことしか出来ない。
采斗が突然芸能界に入った理由の一端がまさか…私だったなんて。
「でも、すっげー誤算だった」
采斗がいつもより少しだけ砕けた口調でコーラをあおる。