いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
「…ま、いいわ」
ため息をついた佐保さんが、チラッと腕時計に視線をおとしてから私に向き直った。
「少し時間があるし、こんな機会もなかなかないので少し話しましょう。いいですか?」
「は、はい…」
私は緊張で身を強張らせながらも、そう返事をするしかなかった。
佐保さんが近づいてきて、私のベッドに腰かける。
そして…
ガシッ
「ひいっ!!」
突然顎をつかまれた。そのまま私の顔を穴が空きそうな勢いで見つめてくる佐保さん。
もしかして私…このまま殺られ…!!
「…わからないわね」
手を離した佐保さんが、ボソッと呟いた。
「本当に普通の子…なぜあんなに執着するのか…」
「…さ…佐保さん…?」
「…あ、失礼」
何やら小声で呟いていた佐保さんが、咳払いをして姿勢を正す。
「単刀直入に言います。この同居を解消してください。なるべく迅速に」
「…え」
同居を解消…?