いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
「あなたとの同居がYUUにとってプラスになることなど一つもありません。果てしなくマイナスになったとしても」
果てしなくマイナス……
佐保さんは眼鏡をクイッと持ち上げると、その奥の理知的な瞳で私を無感情に見つめる。
「もしこの同居がバレたら大きな損害になります。それはYUUだけではなく、柏木さん。貴方だって例外ではないはずです」
「そ、れは…」
わかってる。
ずっと前から分かってたことだ。
この同居は間違ってるって…
「……でも」
昨日の采斗の、不敵な微笑みを思い出す。
『俺はこのチャンス絶対逃す気ないから。
高校卒業してこのままバイバイとか絶対させないから…覚悟しといて?』
…はぁ。と、佐保さんが言い澱む私にため息をついた。
「…まさか…YUUの言っていることを鵜呑みにしているんですか?」
「っ」
「彼は俳優ですよ?嘘をつくのも一流です」
佐保さんがシャツのボタンを開けて、胸元を大きく開いた。
そこに現れたのは、…いくつもの赤い所有印。