いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
「行って…いいのかな。私なんかが…」
「まだウジウジすんのかよ~」
ガクッと大袈裟に肩を落とす一岡。
「私“なんか”はやめろ。私“が”どうしたいかで考えろ。
言っときたいことは、言っといた方がいいんじゃね?」
言っときたいこと…
“俺のこと…好きじゃない?男として見れない?”
返事…してもいいのかな。
私なんかが…
いや、違う。私は。
私は伝えたい。
一度も伝えずに諦めようとした気持ちを。
「ごめん一岡。今度ラーメン奢る」
「どうせなら焼肉がいいな~」
「…行ってくるね」
「おう、また明日な」
立ち上がった私を見ないまま、一岡がヒラヒラ後ろ手を振る。
私はラーメン屋を出て駆け出した。