いきなり人気俳優の婚約者になりました。~絶対秘密の同居生活~
「乙藤竜生って…」
もちろん知ってる。
采斗と同じく、今をときめく若手俳優だ。
たしか年は私達と同じだけど、子役の頃から長く活動している。
でも、それの何が問題なんだろう?
頭上に「?」マークを浮かべる私に、采斗は言いづらそうに言った。
「……優里、好きだったじゃん。アイツのこと」
「え?」
「俺が俳優になったきっかけ…優里がアイツのこと、かっこいいって言ってたからなんだけど」
「そうなの!?」
「そうなのって」
「…ごめん、全然記憶にない」
たしかに乙藤竜生は友達でも好きな子はいっぱいいるし、フツーにかっこいいと思うけど…
そこまで熱烈にファンだった記憶はない。
「俺、優里が他の男見てキャーッてなってるとこ、見たくない」