私があなたを殺してあげる
プロローグ
 ねぇ? 私ね、ずっと生きる意味を探していたの。
最低な人生の中でも、生きることが楽しいと思えることが、幸せと思える瞬間が、きっとあるんじゃないかって。

 そしてやっと出会えたの、あなたに。やっと生きる意味に巡り合えた。
 
 あなたと過ごす時間は本当に幸せだったよ、今までの最低な人生をすべてチャラにするくらい。

 ねぇ、あなたはどう? 
 私といて、少しでも幸せと思ってくれた?
 だったら嬉しいなぁ~ 相思相愛、だね?

 でももう、そんな時間も終わりだね? 幸せって長くは続かない。


 あなたが私を見て笑ってくれている、泣いてくれている、きっと今が、あなたにとって一番心が楽な時だね?

 じゃあせめて、あなたが笑っているうちに・・・ 殺してあげる。

 ねぇ智明、愛しているよ・・・

 私は持った包丁を彼の背中に向かって突き立って、ゆっくりとそのやわらかい部分に突き刺した。


 私も一緒に行くからね? 
 いつもそばにいるからね?


 私は智明の手をそっと握り、寄り添うように隣へ横になった。



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