私があなたを殺してあげる
3
私は仕事終わりにドラッグストアへ、智明に会いに行った。
「月、綺麗やな?」
ベンチでボーっと月を見ている私に、休憩に入った智明が話し掛けて来た。
「智明、あなた私より年上なんだってね? 私ずっと二十歳過ぎくらいだと思ってたよ」
「そうなん? だから時々、杏子の話に違和感があったんか。俺って、そんな若く見えるか?」
「しかも働いてたんやね? 実家の酒屋さんで。私はずっと学生やと思ってた」
私は智明の質問の上から被せるように言葉を続けた。
「学生? 働いてる男感なかった? まだまだ頼りなさそうってことか~」
「なんで? なんでそこまで頑張るの? 昼も夜も働いて、なんでそんなに頑張るの? 家に借金があるから?」
「聞いたんか?」
その話をすると、智明の顔から笑顔が消えた。
「それだけ聞いた。借金があるから働いてるって・・・」
「そうか・・・」
「ねぇ? なんで? いくら借金があるからって、そんなに働いたら体壊しちゃうよ?」
「そやな・・・ でも、それでも働かなあかんねん」
「なんで? なんで智明がそこまでするの?」
「母さんを守らないと」
そう言ってやさしい表情を見せた智明に、私はそれ以上、何も言えなかった。母親のことを出されるともう何も言えない。
そして浅尾さんのこと、お店に飲みに来ていること、不倫相手は加寿実さんということ、私は言えなかった。父親を守ろうとしたわけじゃない、頑張っている智明を思うと、苦しめるようなことは言えなかったんだ。
「月、綺麗やな?」
ベンチでボーっと月を見ている私に、休憩に入った智明が話し掛けて来た。
「智明、あなた私より年上なんだってね? 私ずっと二十歳過ぎくらいだと思ってたよ」
「そうなん? だから時々、杏子の話に違和感があったんか。俺って、そんな若く見えるか?」
「しかも働いてたんやね? 実家の酒屋さんで。私はずっと学生やと思ってた」
私は智明の質問の上から被せるように言葉を続けた。
「学生? 働いてる男感なかった? まだまだ頼りなさそうってことか~」
「なんで? なんでそこまで頑張るの? 昼も夜も働いて、なんでそんなに頑張るの? 家に借金があるから?」
「聞いたんか?」
その話をすると、智明の顔から笑顔が消えた。
「それだけ聞いた。借金があるから働いてるって・・・」
「そうか・・・」
「ねぇ? なんで? いくら借金があるからって、そんなに働いたら体壊しちゃうよ?」
「そやな・・・ でも、それでも働かなあかんねん」
「なんで? なんで智明がそこまでするの?」
「母さんを守らないと」
そう言ってやさしい表情を見せた智明に、私はそれ以上、何も言えなかった。母親のことを出されるともう何も言えない。
そして浅尾さんのこと、お店に飲みに来ていること、不倫相手は加寿実さんということ、私は言えなかった。父親を守ろうとしたわけじゃない、頑張っている智明を思うと、苦しめるようなことは言えなかったんだ。