私があなたを殺してあげる
数年後、私は刑期を終えて出所した。
そして一番に向かった先は智明のお墓。
私はお花を挿し、線香を立て、墓前で手を合わす。
「智明、無事にお務めを終えました」
『お務めご苦労』そんな智明の声が聞こえてきそうだ。
結局、私が出所するまで持ちこたえられず、智明は天国へと旅立った。最後は私の名を呼んで安らかに逝ったと、あゆむさんが教えてくれた。
智明は私を待つと約束してから、本当に頑張って治療を受けたらしい。苦しい抗がん剤治療にも耐え、絶対にまた、私と会うのだと。
「私のために、頑張ってくれたんやね・・・」
そしてもう、どうしようもないと悟ったとき、智明は私に一通の手紙を書いてくれた。
『杏子、体は大丈夫か? 杏子を待つと約束したけど、どうやら約束は守れそうにありません。本当にごめん。会ってもう一度、杏子に触れたかった、抱きしめたかった、もっと一緒にいたかった。なんかごめん、上手く書けなくて。でもこれが素直な気持ち。杏子、どうか俺の分も生きてください、俺が見れなったたくさんのものを代わりに見てください。無責任なことを言うようだけど、きっとそこには、杏子を幸せにする何かがあると信じたいから。 杏子、本当にありがとう。君と出会えたことで俺の人生はすごく変わった、また笑うことができた、幸せだった、生きようと思えた。杏子、またいつか、どこかで・・・ 愛しています』
智明が私に残してくれた言葉・・・
「こんなこと言われたら、後を追えないやん・・・ 智明、私、これから頑張って生きるね? 実はもう働き先ももう決まったんだ、智明のいたドラッグストア。河名さんが雇ってくれました。智明の分まで頑張って、一生懸命生きるから、だから見守っていてね?」
私は墓石にそっと触れる。
「智明、本当にお疲れ様だったね・・・」
智明が歩んできた人生を思い出す。
「天国ではゆっくりしてね。楽しいこといっぱいして、幸せになってね。智明のことだからきっと、天国でもずっと働いてそうだけど・・・ 今度はもっと自分を甘やかしてね、大切にしてね、それが私の願い・・・」
智明への想いが、涙として溢れ出す。
「智明、やっぱり一緒に生きたいよ・・・ 智明・・・ ねぇ、付き合おうって言ってくれた言葉は、まだ有効ですか?」
やっぱり私は、智明しか無理みたい。この先、何十年、何百年かかっても、智明と結ばれる人生を生きたい、一緒にいたい。だから今度生まれ変わる時まで、その約束は有効にしておいてね? 私はきっと、きっとあなたともう一度巡り合うから。約束だからね?
自分のこの想いを手に集中させ、墓石に、智明に届ける。
「それまでは、智明に言われた通り、頑張って生きます」
私はそう告げると、満面の笑みを智明に見せた。
智明が天国で心配しないように。
いつでも私は、あなたを想っています、ねぇ、智明。
「さぁ、行きますか」
私はゆっくりと立ち上がると、智明に手を振り、その場を離れた。
そして真っ青な空を見上げながら、のんびりとその道を歩いた。
END
そして一番に向かった先は智明のお墓。
私はお花を挿し、線香を立て、墓前で手を合わす。
「智明、無事にお務めを終えました」
『お務めご苦労』そんな智明の声が聞こえてきそうだ。
結局、私が出所するまで持ちこたえられず、智明は天国へと旅立った。最後は私の名を呼んで安らかに逝ったと、あゆむさんが教えてくれた。
智明は私を待つと約束してから、本当に頑張って治療を受けたらしい。苦しい抗がん剤治療にも耐え、絶対にまた、私と会うのだと。
「私のために、頑張ってくれたんやね・・・」
そしてもう、どうしようもないと悟ったとき、智明は私に一通の手紙を書いてくれた。
『杏子、体は大丈夫か? 杏子を待つと約束したけど、どうやら約束は守れそうにありません。本当にごめん。会ってもう一度、杏子に触れたかった、抱きしめたかった、もっと一緒にいたかった。なんかごめん、上手く書けなくて。でもこれが素直な気持ち。杏子、どうか俺の分も生きてください、俺が見れなったたくさんのものを代わりに見てください。無責任なことを言うようだけど、きっとそこには、杏子を幸せにする何かがあると信じたいから。 杏子、本当にありがとう。君と出会えたことで俺の人生はすごく変わった、また笑うことができた、幸せだった、生きようと思えた。杏子、またいつか、どこかで・・・ 愛しています』
智明が私に残してくれた言葉・・・
「こんなこと言われたら、後を追えないやん・・・ 智明、私、これから頑張って生きるね? 実はもう働き先ももう決まったんだ、智明のいたドラッグストア。河名さんが雇ってくれました。智明の分まで頑張って、一生懸命生きるから、だから見守っていてね?」
私は墓石にそっと触れる。
「智明、本当にお疲れ様だったね・・・」
智明が歩んできた人生を思い出す。
「天国ではゆっくりしてね。楽しいこといっぱいして、幸せになってね。智明のことだからきっと、天国でもずっと働いてそうだけど・・・ 今度はもっと自分を甘やかしてね、大切にしてね、それが私の願い・・・」
智明への想いが、涙として溢れ出す。
「智明、やっぱり一緒に生きたいよ・・・ 智明・・・ ねぇ、付き合おうって言ってくれた言葉は、まだ有効ですか?」
やっぱり私は、智明しか無理みたい。この先、何十年、何百年かかっても、智明と結ばれる人生を生きたい、一緒にいたい。だから今度生まれ変わる時まで、その約束は有効にしておいてね? 私はきっと、きっとあなたともう一度巡り合うから。約束だからね?
自分のこの想いを手に集中させ、墓石に、智明に届ける。
「それまでは、智明に言われた通り、頑張って生きます」
私はそう告げると、満面の笑みを智明に見せた。
智明が天国で心配しないように。
いつでも私は、あなたを想っています、ねぇ、智明。
「さぁ、行きますか」
私はゆっくりと立ち上がると、智明に手を振り、その場を離れた。
そして真っ青な空を見上げながら、のんびりとその道を歩いた。
END