私があなたを殺してあげる
 さぁ、そしていよいよレジだ。さっきの男の子、浅尾くんがいる。

 さっきは自分がみすぼらしく思えて逃げ出してしまったけど、今度は大人らしく、きりっとした感じで接してやる。

 何故か私は彼を意識し、大人らしいとこを見せようとしている。さっきに逃げてしまったことからのリベンジだ。

 私は髪の毛と服装を化粧品売り場の鏡を覗きながら整えると、浅尾くんのいるレジへと向かう。


「いらっしゃいませ」

 浅尾くんはかごの中の物を取り出しレジを打って行く。


 フフッ、ちょっとは仕事帰りの大人の雰囲気が出てるかな? 

 私はそんなことを考えながら、自分の買った商品がレジ打ちされるのを見ていると、ちょっと恥ずかしく思えて来た。


私が選んでるものって何か・・・ 
女子力を全然感じなくない? 
ビールにおつまみまではいい、お弁当って・・・ 
このお弁当とビールとおつまみがセットになることで、おじさんが選ぶ三点セットみたいになっている。家事はしませんって言っているようなものだ。


 改めてかごの中の物を確認し、私はなんだか恥ずかしくなってきた。


「全部で2862円です」

 浅尾くんは淡々とレジを打つと、手際よくビニール袋に品物を詰めてくれた。
私は財布から三千円を取り出し、手渡した。


 浅尾くんはこの商品を見てどう思っているのだろう? 
そんなことを気にしながら浅尾くんの表情を伺っていると・・・

「フッ」

 浅尾くんが鼻で笑うように声を漏らした。



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