悪女は恋人たちを手放した。恋人たちはそれを許さなかった。
「リアム、アナタは本当にキスが好きね」
「エマだからだよ。エマのキスだから僕は欲しい」
「ふふ、そう」
触れるだけのキスを終え、私の紅がついたリアムの唇を指で拭いながら満足げに私は微笑む。
そんな私を見て甘い笑顔を浮かべるリアムに私はさらに満たされた。
100点の答えである。
「アナタの部屋でならもっと先のこともできるのに」
「そうね。だけど私はアナタと楽しくお話もしたいわ」
「僕じゃエマは満たされない?」
「何を言っているの。十分よ」
物欲しそうに私を見つめるリアムだが私はそれには答えなかった。するとリアムは不満そうに私を見つめてきたので私はリアムの頬に優しくキスをした。
「エマはずるいね」
「あら?今更?」
困ったように笑うリアムに私は意地悪く笑う。
「今晩の相手は僕がいいな」
「考えておくわ」
「いい返事を楽しみにしているよ、エマ」
笑い続ける私を愛おしそうにリアムが抱きしめてきたので私はその背中に手を回して優しくそう囁いた。
広く、しっかりとしたリアムの胸に体を預ける。
何と落ち着く胸なのだろう。
「さて、離れて、リアム。お茶会にしましょう」
「名残惜しいけどわかったよ」
私がリアムの胸を軽く押すとリアムは名残惜しいそうに私の頭に軽くキスをして私を離した。
そして美しい中庭の景色と美しいリアムを眺めながらの、なんとも贅沢なお茶会が始まった。