悪女は恋人たちを手放した。恋人たちはそれを許さなかった。
「じゃあ話題を変えましょう!エマちゃんは誰が1番好き?」
「ええ!1番ですか!?」
「そう!」
「難しいこと言いますね…」
「いいじゃなーい。気になるんだもん」
パンっと手を叩いて笑うカオリさんの質問に私は戸惑ってしまう。
あんな美しく、欠点のない恋人たちの中で1番なんて決められるのだろうか?
「リアムの話は面白いです。一緒にいて楽しいし、何よりリアムはよく人を見て、誰よりも空気が読めます。いつも欲しい言葉と態度をくれるリアムに私はいつも満たされています」
「うんうん」
「それからルークの魅力は知識に対する貪欲さです。いろいろな話をいつも興味深そうに楽しそうに聞く姿を見れば話さずにはいられません。もちろん私の望むものもいつもくれます。そんな姿が愛らしくて好きです」
「なるほどね」
「最後にレオですがレオはいつも真っ直ぐで一緒にいて気持ちがいいです。特に大好きな魔術の話になると目が輝きます。他の2人に比べて愛想はないですが、それでも一生懸命私に答えようとする姿は愛らしいです」
「…うん。で、みんな大好きなのはわかったけど1番は?」
一人一人のことを思いながら彼らに対する想いを口にしていく。カオリさんは終始楽しそうにその話を聞き、最後に誰が1番なのかともう一度問いかけてきた。
「んー。考えてみたんですけどわかりません」
「んん!そうなのね。じゃあこれから決めないとね」
「?何でですか?夢ですよ?」
「まあ、そうなんだけどね?やっぱり夢でも1番を決めて1番好きな人に1番愛されたいじゃない?」
「…まあ、そうですね」
カオリさんの言葉を最初は疑問に思ったが、すぐに私は一意見として納得した。
愛はたくさんあればいいのではない。
誰か1人の1番になる、そしてその人から無償の愛を受ける。
それが1番であることはわかる。
だが、所詮あれは夢である。ただの私の欲望。
いろいろな細かい設定はあるがそれは気にせず私自身があの夢を楽しめればそれでいいのだ。