悪女は恋人たちを手放した。恋人たちはそれを許さなかった。
私は間違っている
今日の目覚めもとてもいい。
体は軽いし、頭はスッキリしている。
私はすぐに布団の中から出て、カーテンを開けた。
今日の天気はどんよりとした曇りのようで、カーテンを開けても朝日を浴びることはできない。
まるで今の私のような空模様だ。
洗顔、化粧、着替え、朝食。流れるように出勤の準備を進めていく。いつもと同じ朝。
だがしかし私の気分はいつものように軽やかではなかった。
夢の中の彼らにしていた仕打ちを現実として受け止めてしまっているからだ。
そうして重たい足取りの中私は準備を終え、会社に向かったのであった。
*****
「どうしたの?エマちゃん?何かあった?」
会社で朝一番に会ったカオリさんは私の顔を見るなり、心配そうにそう言った。
「いや、あのですね。話せば長くなるんですけど…」
「そう…。よし!」
私はそんなカオリさんに低めの調子で答えるとカオリさんはますます心配の色を濃くした。
そして何かを決めたようにどこかへ行ってしまった。
ああ、カオリさんごめんなさい。
気を使わせてしまった。
そう思いながら自分のディスクに向かっていると後ろからカオリさんに肩を掴まれた。
「エマちゃん!午前中は外よ!」
「え」
訳がわからなかったがカオリさんにそう言われ、私はカオリさんのなすがままに会社の外へと連れて行かれてしまった。