悪女は恋人たちを手放した。恋人たちはそれを許さなかった。
5.快楽の夢に溺れていく
望まない夢
夢の中で意識が覚醒する。
私の目の前には半裸のリアムとルークが私のベッドの上で跪いて熱っぽい瞳で私を見ていた。
そんなリアムたちを見つめている私自身も半裸で同じく半裸であろう誰かに後ろから抱き締められ、ベッドに座っている。後ろの誰かとはこの状況からしておそらくレオだろう。
大きな窓へ目を向ければ、真っ暗な空に満月が輝いている。
それだけ今が夜だということがわかる。
え、この状況、4人で夜の営みを始めようとしてる?
私は今日、彼らを解放する。こんなことをしている場合ではない。そう思って声をあげようとした。
「…っ!」
だが、いつもなら感じない燃えるように熱い体の感覚に私は思わず表情を歪め、言葉を詰まらせた。
この熱は何?
「どう?エマ?」
自身の体の異変に訳がわからず混乱しているとリアムが私の唇を指でなぞり、微笑んだ。
「ん…」
ただリアムに触られただけだ。ただそれだけたのに甘い刺激が私を襲い、思わず声を出す。
「効いているみたいだね、可愛い」
そんな私の様子を見てルークは嬉しそうに笑った。
ルークの言葉を聞いて嫌な予感が頭をよぎる。
「…ちょっと、これは、いったい」
このおかしな状況を把握する為に、私はリアムたちに問いかけようとしたが、自分が上手く喋れない状況に気がつく。