悪女は恋人たちを手放した。恋人たちはそれを許さなかった。
望んでいないこの状況が怖い。だが体は薬のせいで刺激を求めずにはいられない。
私の心と身体がぐちゃぐちゃになっていく。
その恐怖に気がつけば私は涙を流していた。
「ずるい。レオばかり感じないで?僕も感じて?」
頬を桃色に染めたルークが私に迫る。
「い、いや」
それを何とか私は止めようとしたが思うように体に力が入らない。
抵抗できない私に今度はルークからキスの雨が降る。
肩、腕、胸元、お腹。ルークの唇が触れる度、私の体は刺激に震え、甘い声をあげる。
そしてルークはそんな私を見るたびに満足げに笑い、嫌がる素振りを私が見せてもそれを止めようとはしなかった。
「…はぁ、はぁ」
何度も私を襲う甘い刺激に私は疲れ果て肩で息をする。
「…エマ。美しい僕のエマ。今度は僕だよ」
そんな今にも倒れそうな私の姿を見て今度はリアムがうっとりした表情を浮かべ、私に迫ってきた。
「…り、あむ」
リアムなら私が本気でこの状況を嫌がっていることがわかるはずだ。なので私はもうこんなことは止めるように最後の力を振り絞ってリアムに目で必死に訴える。
「愛しているよ、エマ」
だが私の必死の訴えはリアムには届かず、リアムは私に妖艶に微笑むと私に深いキスを落とした。
何故。ルークとレオならまだわかる。しかしリアムだけはと私は信じていた。リアムは絶対に私が本気で拒んでいることをわかっているはずだ。