悪女は恋人たちを手放した。恋人たちはそれを許さなかった。
ルークはそれを拒んだ
リアムとの面談が終わり、私はまた1人でソファに座り、深刻な面談結果に放心していた。
私がリアムを限界まで追い詰め、リアムを壊してしまった。
次の誰かを待つ時間が恐ろしく長く感じる。
リアムがこの部屋から去ってまだ数分だ。次の誰かはいつやって来るのかわからない。
罪の意識に押し潰されていると部屋の扉を叩く音がこの静かな部屋に響いた。
「エマ。入るよ?」
「…ええ」
扉の外から聞こえてきたのはルークの明るい声だった。私は声が震えないように気を引き締めて短く返事をする。
「エマ。今日は僕とも遊んでくれるの?」
ルークは私の部屋に入るなり、愛らしく私に笑い、リアムと同じように私の隣へ座ろうと歩き出した。
いつもそこへ座らせているのは私だが、今日は彼らに誠意を見せると決めた日。これもリアムと同じように隣に座らせる訳にはもちろんいかない。
「違うわ。ルークに大事な話があって呼んだのよ。今日は私の隣ではなくて、向こう側に座りなさい」
こちらに来ているルークに対して私はあくまで落ち着いているフリをして向かい側のソファへ座るように指示をした。
「どうして?いつも隣でしょ?僕、エマの側がいい」
「…向かいのソファに座りなさい」
「どうしても?」
「ええ」
「…はぁーい」
私の指示に対して最初こそ嫌だと首を振っていたルークだったが私の態度を見て渋々と言った感じで向かい側のソファへ向かい、腰を下ろした。
相変わらず言動や仕草が全て愛らしい。