悪女は恋人たちを手放した。恋人たちはそれを許さなかった。
レオはそれを否定した
ルークが部屋から帰り、また私は1人になった。
また一つ増えてしまった罪に心が引き裂かれそうになりながらも私はリアムからもルークからも感じたあの違和感について考えていた。
リアムもルークもまるで私が逃げ出したかのような口ぶりで私に話しかけていた。
私はまだ彼らから逃げ出してはいないのに。
何故彼らが口を揃えて私にそう言ったのか答えが一向に見つからならない。
「…」
黙ったまま目の前のソファを見つめる。
次に私の元を訪れるのはレオだ。レオだけはどうか壊れていないで欲しい。
そう思っていると強めのノックの音がこの静かな部屋に響いた。レオが来たのだ。
「入るぞ」
私の予想通り聞こえてきたレオの声。レオはいつものように私の返事を待たずして扉を開け、私の部屋へ入った。
「エマ、いきなり面談とかどうしたんだ?」
部屋へ入ってきたレオは不思議そうに私を見つめながら私の隣へいつものように移動する。
また私は言わなければならない。
「…大事な話があってね。今日は私の向かい側に座りなさい」
本日何度も言った台詞をまたレオに吐く。
「…わかった」
するとレオはリアムやルークのように嫌がらずすぐに向かい側の方へ向かった。ほんの少し傷ついたような表情を一瞬だけ浮かべて。
演技などもうしなくてもよいと早く伝えたい。